恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
* * *





雨の降った土曜日は、それを理由にして、莉子は朝陽くんとの約束を断っていた。

『理由ができてよかった』と言っていた莉子の顔は、見ることができなかった。




「聞いてほしいことがあるの!」



月曜日、莉子の病室に入ってすぐに、莉子は興奮気味にそう言ってきた。



「どうしたの?」

「今週末、また約束してもらえたの。 水族館行こうって」

「本当!? よかったじゃんっ!」

「うん、嬉しいな」



莉子は柔らかく微笑んでそう言った。
だけどなにか迷ってそうに見える。



「どうしたの」

「うん? なにが……?」

「莉子、なにか悩みごとでもあるの?」



そんなあたしの言葉に、莉子は小さく横に首を振る。
違うなら、いいんだけど……。


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