恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「……そうだ」
なにかを思い出したようにそう言った莉子は、ベッドから立ち上がって、開いた窓の窓枠に手をかけた。
開いた窓からは冷たい風が吹きいれるけど、莉子はそんなのお構いなしに、冷たい風を浴びている。
「莉子?」
あたしもベッド脇の椅子から立ち上がって、莉子の隣に並ぶ。
真っ青な空に、暖かい日差し。
冷たい風が吹いていても、春を感じさせるような気候は、心が弾む。
「……私、受験するのやめる」
「っえ?」
そんななか耳に聞こえてきたのは、低い声をした莉子の言葉。
その言葉は、胸にぐさっと突き刺さったような感覚がした。
「どうして?」
「ごめん、希子」
「ねえ、なんでよ……!」
理由はわかってる。
わかってるけど、やっぱり心のどこかではまだ認められてない。