恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「ごめんね」
悲しい顔をした莉子から目を逸らす。
だって、約束したもん。
南高校に行こうって……約束、したじゃん。
莉子と同じ高校に受かるように、がんばってたのに……。
だから、納得できない。
ーーでも。
「……うん、わかった。 莉子が決めたことだもんね」
「ありがとう。 いよいよ来週だね。がんばって」
「絶対受かるから!」
自信はないし、約束はもうやぶられちゃったけど。
でも、いままでがんばったんだから、ここで諦めたくない。
「応援してる」
「うん、ありがとう」
あたしの好きな柔らかい笑顔をした莉子に、あたしも笑顔を返す。
小さく『私もがんばらなきゃ……』とつぶやいていた莉子の声は、あたしの耳に届くまえに、風の音にかき消された。