恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
《Riko》





人が行き交う駅まえの時計塔の下。
約束の時間まで、あと5分。


なんだろう、不思議な感覚。
ドキドキ、そわそわする。



今日の格好……変じゃないかな。
希子に選んでもらったけど、いつもこんな服は着ないから、不安。



1日退院させてもらった今日は、土曜日。
私が三吉くんと会う日。


いろんな意味でドキドキしてる。
でも、最後までずっと笑顔でいることは決めたんだ。



……大丈夫、大丈夫。
さっきからなんども、そう自分に言い聞かせている。



「キコ!」



そんな声に、うつむかせていた顔を上げる。
少し遠くに現れた三吉くんは、笑顔で私の名前を呼びながら、駆け寄ってきた。



最初から最後まで、ずっと『キコ』のまま。でも、あのときこの決断をしてよかった……。



「おはよ、キコ」

「おはよう、三吉くん」


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