恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
私服の三吉くんは、なんだか新鮮でちょっとドキドキする。
はじめて会ったときよりも、春に近づいて少し暖かくなったこのごろ。
春は、大好き。
でもいまは、そんな春がやってくるのが怖い。
「行こう」
「うんっ」
約束したのは3時から5時まで。
明後日はもう受験だからって。
……三吉くんに受験しないことは言ってないし、言うつもりもない。
「受験、もうすぐだな」
「そうだね……」
「勉強してる?」
「……当たり前だよっ」
そんな会話をしながら、水族館までの道のりを、肩を並べて歩いて行く。
「キコ、俺さ……」
さっきまで笑っていた三吉くんの顔が、きゅうに固くなった。