恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



顔に出るくらい嬉しかったのに、すごく胸がドキドキしていたのに。
ぎゅうっと締め付けられるように痛んだ。



なんで、今日に限って……。
嬉しいけど、伝えて欲しくなかった。
三吉くんの気持ちを知らないままでよかったーー。



「……キコ?」

「わ、私……」

「ごめんな、きゅうに。 返事は今度でいいから」



うつむかせている顔をあげられない。
三吉くんのこと、見れない。


今度は、もうないんだよ。
だって、決めたんだから。



ここで伸ばしちゃったら、もう言えなくなっちゃうかもしれない。


三吉くんを傷つけるのは、1度でいい。



「……ごめんなさい」



思ってることとは裏腹の言葉を、三吉くんにぶつける。


ごめんね、ごめんなさい。
本当はすごく嬉しくて、この気持ちを伝えてしまいたいのに。



ーーごめんね、三吉くん。


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