恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
* * *





きゅうに耳に音が入ってきて、ゆっくりと目を開くと、いつもの天井が見えた。


そして、私の顔を覗き込む、お父さんとお母さんと希子と目が合う。
みんな、悲しそうな顔をしていた。



「莉子! よかった……」



ホッとしたような顔をする、希子。



「あなた、なにしてるのよ! なんで走ったりなんかするの……!!」

「佳子(かこ)、落ち着きなさい」



涙を零して取り乱すお母さんと、それを抑えるお父さん。



「……ごめんなさい」



『ありがとう』と思うと、どうしても『ごめんなさい』が口に出る。


心配してくれてありがとう。
迷惑かけてごめんなさい。



それは正反対なようで、隣同士の言葉。


< 112 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop