恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「莉子、自由に伸び伸びしてもいいわ。 でも、心配だけはかけさせないで」
「うん。 ごめんね、お母さん……」
「もう、びっくりしたのよ」
そう言ったお母さんは、さっきよりも柔らかい表情をしていた。
「もう、迷惑も心配もかけないから」
悲しい顔を見たくないって思ってるくせに、自分からそうさせちゃってどうするの。
「本当にごめんなさい」
むくっと起き上がって、少し頭を下げながらそう言うと。
お父さんの大きな手が頭に乗っかった。
昔から知ってる、暖かくて優しい手。
「莉子にはいつも我慢させてすまない」
「なに言ってるの。 私は平気!」
笑顔を見せると、お父さんも柔らかく笑ってくれた。