恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
みんなの柔らかい笑顔を見ると、苦しいって思ってたことが少しずつ消えていく気がする。
……でもまだ、胸はズキズキ痛む。
「莉子も落ち着きたいだろうし、父さんたちはそろそろ帰ろうか」
「そうね。 莉子、もう平気?」
「うん、平気だよ」
そう返事をすると、お母さんとお父さんは荷物をまとめ始めた。
「なにかあったらすぐに電話するのよ」
「うん」
そう言って病室をあとにしようとする、お母さんとお父さん。
だけど、希子はその場から動きそうになかった。
「希子、行くわよ」
「あたし……もう少しいるっ」
「わかったわ。 じゃあね、莉子」
「気をつけてね」
お父さんとお母さんがいなくなると、希子は私のベッドの隣にある、誰も使ってないベッドに腰を下ろした。