恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「春馬は莉子(りこ)には優しいくせに、あたしにはいつも意地悪!」
「あたりまえだろ」
当然のように、春馬は答えた。
莉子とは、あたしの双子の姉。
あたしと莉子は容姿はまったく同じなのに。
性格は少しだけちがう……と思う。
大人しいけれど、優しくてしっかり者で勉強のできる、姉。
運動しか取り柄のない、妹。
お母さんにはいつも『莉子を見習いなさい』って言われる。
あたしはあたし。莉子は莉子。
いくら双子でもまったくちがうのに。
だからと言って、莉子のことを嫉ましいだなんて思ってない。
--むしろ、憧れてるくらいだ。
「希子はばかだからいじりがいがある」
「ちょっと、なにそれ!?」
春馬のことを少しきつくにらむ。
なんかものすっごく腹が立ってきた。