恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
少しずつ、春に近づく陽気。
病室の中庭はぽかぽかしていて、心地いい。
中庭の真ん中にあるベンチで春馬の隣に腰をかける。
「希子、おまえ大丈夫?」
「うん、大丈夫」
笑顔を浮かべて春馬にそういうと、春馬は眉をひそめた。
「……無理すんなよ」
「してないよ」
「してんだろ」
「だから、してないって!」
声を大にしてそう言うと、春馬は呆れたのか、ため息を吐いた。
あたしは無理なんてしてない。
無理をしてるのは、莉子だよ。
「春馬は、莉子とちゃんと話せるようになったの?」
「あー、うん」
「本当!? それならよかった……」
ずっと気まずいままだったらあたしも嫌だし、きっと春馬も後悔する。