恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
担架のうえに乗せられた青白い顔をした女の子は、たしかに莉子だった。
嫌な、予感がする。
胸がざわついて頭がいっぱいで。
「ねえ、待って……!」
手術室に入っていく莉子を追いかけようとすると、福原さんに止められた。
「なんで……」
「いまは、待ちましょう」
「莉子は、どうしたんですか!?」
なにがあったのか、さっぱりわからない。
ただ、涙がたくさん溢れてくるだけで。
「あの病室の窓のすぐそばに桜の木が見えるでしょう?」
「……はい」
「その下で、発作を起こして倒れてたのよ」
その言葉は胸にぐさりと刺さった。
嫌だ。 絶対に嫌だ。
莉子はきっと大丈夫……。
そう言い聞かせるだけで精いっぱい。