恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
目の前で立ち上がった春馬。
そんな彼に、ぐいっと腕を引っ張られて、むりやり立たされる。
「希子のせいなんかじゃねえよ! 希子はなにも悪くない」
そんな声が病室に響く。
「なんで……」
「だれも悪くない。 莉子も」
目に涙が浮かんで、春馬の揺れている瞳。
あたしの心を、ぜんぶ見透かされてるみたいだ。
「でも、あたしが気がついてれば……」
「そんなの、わかんねーだろ。 過去のことをぐちぐち言うなよ!もう変えられねえんだよ」
荒れた口調の春馬は、いつもより怖い。
どうして、そんなこと言うの。
莉子がいなくなったのは、過去?
もう忘れろって……?
「莉子のこと忘れろって!? 春馬、ひどすぎるよ!」
「ちげーよ!!」
あたしの声よりも、さらに大きくて低い声が返ってきた。