恋日和 〜キミに届かない恋でも〜

・ 図書館の彼

《Kiko》





寂しくてたまらない。
前を向こうと決めても、ひとりになると寂しくなって、泣きたくなる。


紺色のセーラー服に、赤いスカーフ。
この辺でセーラー服はめずらしいし、可愛いからって憧れてた。



そんな制服を身にまとう、鏡にうつる自分の顔はいまにも泣きそうだった。


こんなんじゃ、だめ。
そう思って、両手の人差し指で口角をクイッと上げる。



壁時計で7:45になると、ピンポーンと呼び鈴が家に鳴り響いた。


急いで階段を降りてリビングに行く。
そして仏壇に飾ってある、莉子の笑顔の写真に向けて、『行ってきます』とつぶやく。



「希子、制服似合ってるじゃない」

「本当?」

「えぇ。 気をつけるのよ」

「うん! 行ってきます!」


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