恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「どじ」
「はあ? どじじゃないし!」
やっとの思いでドアにもたれかかるあたしを見て、春馬が意地悪そうに笑った。
ざわざわしているようでしてないような、不思議な空間。
人はたくさんいるのに、みんな知らない人ばかり。
電車なんてあまり乗らないから、ちょっと新鮮味があるなあ。
「新学期早々どっかで転ぶなよ」
「だーかーら、転ばないって!」
春馬はそんな意地悪なことしか言えないの!?
そう思って、キッと強くにらんで見せるけど、春馬にはやっぱり効果なし。
「春馬とはぜったい同じクラスになりたくない……」
思ったことがうっかり口に出てしまうと、それに気がついた春馬は顔をゆがめた。
「俺のセリフだから」
「そーですか!」
昔から春馬とは話すたびにこんな感じだ。