恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
ちょっとだけ胸が高鳴る。
同じクラスになれるなんて、思ってもみなかったよ……。
でもいま、『三吉』って言ってなかった?
まさか、まさか……ね。
だってこんな偶然なんて、起こるわけないよ。
なんだか胸がすごくざわつく。
同じ苗字の人がきっと何人もいるんだって、莉子の話していた人とはちがうんだって、思いたいよ。
だって、同じだなんて、ありえない。
「……希子! 希子ってば!!」
そんな声に顔をあげると、なぜかあたしのまえには芽依が立っていた。
「なにぼーっとしてるの? 入学式始まるから、みんなもう廊下に並んでるよ」
「……あ、うん」
3つ隣の彼の席を見てみたけど、もうそこにはいなかった。
まだ聞いてないからわからないけど、聞かなくても、もうそうなんだって思っちゃう。
胸のなかがもやもやして、なんだか……うまく笑えない。