恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



そう、心に決めながらも、あたしはそのまま自席に着いた。



「希子、おはよ」

「あ、おはよ」

「あんた、夜ふかしでもしたの?」



あたしの席にやってきてそう聞いてきた芽依の言葉に、『え?』と返す。



「クマができてる」



そう言われて、つい、目の下に手をやる。

そりゃあ眠れなかったもん、クマはできちゃうものだよね。



「どうしたの?」

「あのね、夢に莉子が出てきたの。 朝起きたときさ……すごく泣きたくなった」



もう夢でしか会えないんだって思うと、悲しくて悔しくて。



「……そっか」

「うん」



寝不足の理由は、本当はそれだけじゃないんだけど……。
三吉くんのことも、図書館の彼の顔も、芽依は知らないから言えないよ。


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