恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「そうなんだ」
そう言って笑う三吉くんに、胸がドキンと跳ねた。
それに、胸がなんだか温かくなる。
あたしがずっと図書館のすみっこにいた彼を見ていたときと、同じ。
彼はやっぱり温かくて優しい人だった。
「希子ちゃん、私……帰るね! また明日!」
「え? あ、ばいばい、湖都ちゃん!」
あたしたちに背中を向けて急いで行ってしまった湖都ちゃんの背中に向けて、大きな声でそう言った。
湖都ちゃん、どうしたんだろう……。
「希子、このまま帰るの?」
「あ、うん……」
「一緒に帰る?」
断るのもなんだか悪い気がして、『うん』と小さくうなずいた。
名前で呼ばれるの、慣れないなあ。
呼ばれるたびに、すごくドキドキしちゃう……。