恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
そしてあたしが芽依に言葉を返すまえに、芽依は緩く投げられたボールにも関わらず、当たって外野に行ってしまった。
あーあ、と思いながら外野に行く芽依のことを目で追っていると。
「希子ちゃん!」
と声がして、我に返る。
だけどそれも遅く、気がついたときには目のまえに真っ白なボールが飛んできていた。
えっ……。
避けようとするまえに、顔全体に大きな衝撃が走った。
「いったー!」
じんじんと、顔が痛む。
特に鼻が痛い……。
「希子ちゃん、大丈夫?」
「あ、うん!大丈夫!」
すぐさま駆け寄ってきてくれたエリカちゃんにそう笑って返したけれど、エリカちゃんは『血!』と大きな声を上げた。
「え?」
「鼻血出ちゃってる!」
「うそ……!」
鼻の下を触ると、たしかに血がついてるような感覚がした。