恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
とりあえずなかに入って、三吉くんにうながされて椅子に座った。
「はい、ティッシュ」
「ありがとう」
何枚もティッシュを受け取って、血を拭いていく。
そして一枚だけ丸めて、鼻に入れた。
恥ずかしいけど……こうするしかないよね。
「おでことか赤いけど、冷やす?」
「あ、うん……そうしようかな」
ぼうっとしていた自分のばかだ。
そう落ち込んでいると、三吉くんは『はい』と差し出された氷水の入った袋を受けとる。
「ありがとう。 ……三吉くんは、大丈夫?」
「あ、うん。俺は平気」
三吉くんは笑いながらそう答えた。
あたしばっかりやってもらっちゃって申し訳ないな……。
棚から湿布を取りだてして自分の指に巻いた三吉くんは、あたしの向かいにあった椅子に腰をかけた。