恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「……あ、もう大丈夫かも」
恥ずかしいから三吉くんに背を向けながらティッシュを取ると、もう血はあまりついていなかった。
「じゃあもどるか」
「うん。 三吉くん、本当にありがとう」
「おう」
三吉くんはちょっと照れくさそうに笑った。
こんな顔……初めて見たかもしれない。
あたし、三吉くんのことまだ全然知らないんだなあ。
「……というか、体育着 大丈夫?」
「え? あ、すっかり忘れてた」
ぽつぽつと赤い点が目立つ体育着。
どうしようかな……。
「じゃあ、これ着る?」
「でも悪いし、大丈夫!」
三吉くんは着ていたジャージを差し出してきたけれど、首を横に振った。
「暑いし、脱ぎたかったからいいよ」
「あ、うん。……ありがとう!」
羽織ったジャージからは、三吉くんの匂いがしてちょっとドキドキした。