恋日和 〜キミに届かない恋でも〜

・ 君でいっぱい

《Kiko》





夕方の、シーンと静けさのある図書館。
周りの人は本を読んでいたり、勉強をしていたり。


あたしも、目のまえに座る幼なじみの春馬(はるま)と受験勉強をする目的で図書館に来てはいるんだけど……。



ペンを動かす手を止めて、勉強スペースのすみっこにいる男の子に視線を向ける。

同い年くらいのその男の子の黒い髪は夕日に染まって少し茶色く見えて、彼は真剣な表情でシャーペンをせかせかと動かしている。



彼と初めて話したときから、あたしの頭のなかは彼のことでいっぱいなんだ。


だけどあのとき以来は一度も話していないし。
……きっと、話しかけるなんて無理だけど。



ぼうっと彼を見ながら、初めて話したときを思い出す。


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