恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「希子!!」
耳元で聞こえた大きな声に、肩がびくっと大きく跳ねる。
「め、芽依? どうしたの」
「なにぼーっとしてるの?」
「ごめん……」
そう謝ると、『まあいいけど』と、芽依は呆れたようにつぶやいた。
「それで、どうしたの?」
「あー、そういえば明日空いてる?」
「明日? うーん、たぶん空いてるよ」
明日は土曜日。
たしかなにも予定は入ってなかったはず……。
「どっか遠出しない? 実鈴と3人で」
「3人……。 うん、いいね!」
あたしは、まえに進めてるふりをしてるだけだ……。
莉子がいないという現実を、まだ認めたくなくて、反応してしまう。
「希子?どうしたの?」
「ううん、なんでもないよっ」
不思議そうにしている芽依にはぐらかすように笑顔を向ける。