恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「なに言ってんの!? あんたと莉子は全然ちがうよ」
少し怒り気味な芽依に、びくっと肩が跳ねた。
だけど芽依は、泣きそうな悲しそうな顔をしている。
「いくら双子だからって、あたしたちはふたりのことを重ねたりしないよ。 だってふたりとも、別人じゃん!」
「実鈴……」
ふだんは柔らかい口調の実鈴も、ちょっとだけきつい口調で、どこか怒ってるように感じる。
だけど、ふたりの言葉に、嬉しいって思った。
あたしは、莉子じゃない。
莉子は、あたしじゃない。
ーーそうだよね。
なんだかこのごろ、ちょっと自分を見失いそうになっていた。
三吉くんと話すときは、どこか莉子になっているような自分がいた。
でも、あたしはあたしだ。
莉子でもだれでもない。