恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
* * *





--放課後。
少しずつうるさくなる教室で、春馬に『ちょっと来い』と低い声で呼ばれた。



あたしの返事を聞かずに歩いて行く春馬の背中を、急いで追いかける。


廊下は楽しそうな声で溢れてる。
だけど春馬とあたしだけ、どこかピリピリした空気に包まれている。


なんかものすごく怒ってそう……。
その理由が聞きたかったし、春馬から声をかけてもらえたのはちょうどよかったけど。

ここまで春馬が怒ってるとなると、話しづらい。



びくびくしながらも春馬に着いて行くと。
春馬は理科室のまえで立ち止まって、なかに入っていった。



春馬に続いてなかに入ると、理科室は薬品のような香りが漂っていた。
そして春馬と目が合うなり、大きくため息を吐かれた。


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