恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
あのままうなずいちゃえばよかった、って。最悪な心を少しでも持っている自分がいることが、悔しくて許せなくて。
「……なんで」
そんな小さな声は、雨にかき消される。
どんなに涙を流したって、雨に流されて消えてしまうんだ。
『もう迷惑だと思うから、話すのやめるな』って言った彼の顔が、忘れられない。
迷惑なんかじゃない。
その気持ちは、莉子にとって迷惑なんかじゃないよ。
だけどあたしは、莉子じゃない。
莉子の代わりには、うなずけない。
もう、ごちゃごちゃだ。
莉子にまで八つ当たりをしてしまいそうになる自分が、大嫌いだ。
ドンッと、右手のこぶしをマットレスに叩きつける。
なんどもなんども、叩きつける。
だけどこのもやもやした気持ちは、晴れるわけじゃなかった。