恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
鼻で笑いながら、『なに言ってんだよ』と春馬がつぶやいた。
「希子と莉子は全然ちげーのにな。 同じだって思うのっておかしいだろ」
嫌味っぽく言う春馬は、いつもの春馬っぽくて、ちょっと安心する。
「一緒に進もう。 莉子を忘れるってことじゃなくて、悲しいことを忘れよう」
「……おう」
「ゆっくりでいいんだよ。 だってすぐに、悲しいことを忘れられるわけないもん」
「そうだな」
春馬が穏やかに笑うから、あたしも泣いてたことなんて忘れて、少しだけ笑った。
「春馬、もう帰りなよ」
「……相談なら、乗るから」
「あははっ。 春馬が優しいのって気持ち悪いよ」
「うっせーよ。 じゃあ、また月曜日にな。休むなよ」
『うん!』と大きくうなずくと、春馬は穏やかに笑ったまま、あたしの部屋を出て行った。
明日は晴れるかな。
晴れたら少しは……、気持ちだって晴れるかもしれないのに。