恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「そういえばさ、莉子の墓……どこにあるんだっけ」
学校の正門をくぐると、春馬がきゅうにそうつぶやいた。
「あたしのおばあちゃん家の近くだよ。 でも、どうして?」
「……俺、まだちゃんと行ってないから」
「あたしも、一度しか行けてない」
おばあちゃん家まではすごく遠い。
車で行って3時間くらいかかる。
電車を乗り継ぐと、もっとかかる。
……というのは、たぶんいいわけだ。
本当は、怖くて行けてないんだ。
「今度、行こう。 期末テスト終わったあとでも、お盆のときでも」
「うん、そうだね。行こう」
「おう」
春馬はなにかを決意したように、大きくうなずいた。
土曜日のときに見た湖都ちゃんみたいに、その横顔はきらきらして見えた。