恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
ーー俺が告白した日、莉子が走って逃げた日。
莉子は病気……だったから、俺のまえから消えたっつーこと?
だけどどうして、自分の名前を〝キコ〟だなんて言ったんだよ……?
胸がもやもやして、いろんな気持ちがぐるぐると頭を駆け巡る。
いま俺の目の前にいる〝希子〟と俺の好きだった〝キコ〟はーー。
笑った顔も、照れくさそうな顔も、少し怒ったような顔も。
よく考えてみると、似てるけど全然ちがう。
まったく別人みたいに思えてきた。
たしかに高校の入学前と入学後だと、希子は別人みたいな感じはしたけれど。
それは、受験も乗り越えたし、元気になったっつーことかって思ってたんだ。
うつむかせていた顔をゆっくりと上げると、うえにはものすごくきれいなオレンジ色の空が広がっていた。