恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「6人くらい男子いるのにさあ、希子ってばずっと三吉くんのこと目で追ってるよね」
「えっ!?」
「わっかりやすーい」
「ちょっと、芽依!!」
あたしだって、無意識だ。
意識して、目で追ってるわけじゃない。
ただでさえ暑いのに、芽依がそんなことを言うから、もっと熱くなった。
机の上に置いてある下敷きで、ぱたぱたと顔を仰ぐ。
「……もう、やめたの」
「うん? なにを?」
「好きでいること」
1、2秒の間が空いてから、『はぁあ!?』という芽依の叫び声が教室に響き渡った。
クラスメイトは驚いて目を丸くさせて、あたしたちに視線を集める。
「ああもう、芽依! だれかに聞かれたらどうすんの」
「あ、ごめんごめん」
「もう……!」
いやもうぜったいに、何人かにはあたしが三吉くんのことが好きだって、ばれてそうだから、怖い。