恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



「ばかみたいに言い訳作ってるひまがあるなら、素直になりなよ!」

「だって……」

「そんなんでいいの? ……せめて、伝えるぐらいしないと。いつになっても進めないままだよ」



好きだけど、伝える気はない。
ずっと、そう決めていた。


でもーーすっきりさせたいっていう気持ちも、なくはなかった。
だけど、このままじゃ言えないもん。



「あたしは、彼のまえでは莉子だから。 あたしが告白したら、彼は喜ぶよ」



だって彼は、莉子が好きなんだから。
あたしの気持ちだとは思わなくて、莉子の気持ちだって思うはず。


ーーだから、無理だよ。



「莉子のこと、いつになったら言うの?」

「……わからないよ。 そう簡単に、言えないって」



『はあ』という、芽依のため息がまた聞こえてきた。



「とりあえず、素直になりなよ」

「……そうしたいけど」



『素直に』か。
素直になって、この気持ちを彼に伝えることができるのは、いつになるんだろうーー。





< 276 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop