恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「だから、朝陽もちゃんと自分の気持ちに気づきなよ」
「え? ……俺の?」
どういうことだよ。
そう思いながら聞いてみると、須藤は『そう!』と力強く返してきた。
「それで、告白はなかったことにして!」
「……なに言ってんだよ」
いきなりのそんな言葉に、口がぽかーんと開く。
「いいの!なかったことにして!」
見たこともないくらいの須藤の迫力に負けて、『あぁ』と答えてしまった。
告白するのって、すげえ勇気いるのに。
俺、たぶん須藤のこと傷つけたかもしれない。
……いや、絶対、傷つけた。
「朝陽も自分のその素直な気持ちを、相手にぶつけるんだよ!」
『じゃあね!』と言って、俺になにも話させずに、走り去る須藤。
去り際の須藤は、少し悲しそうな顔をしていたけれど。
少しずつ小さくなっていく背中に向けて、なにも言えなかった。