恋日和 〜キミに届かない恋でも〜

・ 大切なあなたへ

《Kiko》





変じゃないかな。大丈夫だよね。
鏡のまえで、なんどもなんども服装を確認する。


去年、色違いで買ったグラデーションになっている、ワンピース。

あたしがパステルオレンジで。
莉子がパステルピンク。



懐かしく感じながらも、今日はそれを身にまとった。



「希子! 電車遅れるわよ」



ガチャ、と部屋のドアを開けて入ってきたお母さんは、呆れながらそう言っていたけれど、笑っていた。



「いま行く! お母さんは本当に来なくていいの?」

「えぇ。 今日はお友達と行ってらっしゃい。遅くならないうちに帰るのよ」

「うん、わかった。 行ってきます!」



白いバッグを肩にななめにかけて、バタバタと階段を駆け下りる。


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