恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
……忘れ物、ないよね。
特急列車のチケットも、ちゃんと持ったし!
サンダルを履きながら、バッグの中身を確認する。
そういえば、一緒に行く春馬と芽依と実鈴とは、なぜか駅で待ち合わせ。
芽依も実鈴も、駅に向かうときはあたしの家のまえを通るのに。
「ほら! 遅れちゃうわよ!」
不思議に思っていると、お母さんにそう急かされて、我に返る。
「あ、うん! 行ってきますっ」
「気をつけるのよ」
「はーい!」
家中に響くくらいの大きな声で返事をして、家を出る。
そういえば春馬だっていつもなら呼びに来るはずなのに。
……やっぱり、どこかおかしいなあ。
首を傾げながらも、駅までの道をゆっくりと歩いて行く。