恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
朝9時なのに、もうすでに暑くて。
日焼け止めだって塗ったのに、露出されている肌はじりじりと焼けているような感覚がする。
駅まで歩いて10分。
なるべく日陰をゆっくり歩いていく。
ーーちょっとだけ、怖いや。
家にある、莉子の遺影を見るだけでも、目をそらしたくなるのに。
あの笑顔をもう見ることはないんだって。
もうここにはいないんだって。
まだ、そのことを認めたくない自分がここにいる。
でも、ちゃんと挨拶には行かなきゃね。
だって、莉子に話したいことは、たくさんある。
なにを伝えようかって考えながら歩いているうちに、気がつけば駅まえの時計塔のまえに着いていた。
まだだれも来てないなあ……。
そう思っていると、ちょうどよくスマホが音を鳴らした。