恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
電源の入った着信画面にうつっていたのは、【春馬】の文字。
「もしもし、春馬?」
『いまどこ?』
「どこって時計塔だけど……。 そっちこそ、どこにいるの?」
『それがもう電車内です』
「はあ!?」
なに電車のなかで電話してるのって思ったけれど。
よくよく考えてみれば、怒るところはそこじゃない。
「なんでもう電車に乗ってるの!?」
『だって希子がおせーから』
「え?だって待ち合わせの時間は9時15分だって、言ってたじゃん」
すこしうつむきがちに電話をしていると、目のまえにだれかが止まって、あたしの視界のすみにスニーカーが見えた。
『それは、希子と……』
すこしずつ顔を上げていくと、そこには気まずそうに立つ三吉くんの姿があった。