恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



それに驚いて、通話中なのに耳元からスマホを離すと、春馬の声が遠くなって行った。


彼もあたしと目が合うと、耳に当てていたスマホを、ゆっくりと耳元から離した。



ーー状況がよく、わからない。



「どうして……」

「たぶん、はめられた」

「え?」



はめられたって、どういうこと?



「昨日、河西に『来い』って言われて特急列車のチケットを渡された」



気まずそうに話す三吉くんの、スマホを持ってる右手とは反対の左手に、ぎゅうっとチケットが握られていた。



……春馬が、三吉くんを莉子のお墓参りに誘ったの?


それに、もしかして。
もう電車に乗っているのは、春馬だけじゃなくて、芽依も実鈴も?


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