恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
プルルルルー、といつの間にか切れていたスマホが、また音を鳴らした。
今度は春馬じゃなくて芽依からだった。
「芽依!」
『ごめん、怒ってる? だけど気遣ってあげたんだから』
「気遣うって……?」
『希子のことじゃなくて、三吉くんのことを気遣ってあげたんだって。 それより、早くしなきゃ出発するよ』
え?出発……?
時計塔を見上げると、長針と短針で9時13分を指していた。
特急列車がでるのは15分……。
顔からサァーッと血の気が引いていく。
「お、遅れる!」
「え?」
電話の向こうの芽依のことも、いま一緒にいた三吉くんのこともほったらかして、いそいで改札を通る。
これに乗り遅れたら、もう普通電車ですごい時間をかけて向かうことになっちゃう……!