恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「あたしがどうしてこんなことをしたのかは、莉子の気持ちを大切にしたかったからだよ。 だから、こんなことをしてしまったことは、わかってほしい」
「うん、わかってる」
「嘘吐いてて、ごめんね」
「いいよ。 だって騙そうとして吐いた嘘じゃないじゃん」
三吉くんの顔は、見れなくて。
お互いに、だれも座っていないまえの座席に向かって話している。
「あたし、三吉くんが好き。 だけど三吉くんのまえでは〝あたしの名前を名乗った莉子〟でいなきゃだった。 だから、告白も『うん』って言わなかった」
「……俺のことを?」
さらっと、伝えてしまった気持ち。
あたしは『うん』とうなずいた。
だけどこれは……。
「告白じゃないからね」
「え? あ、うん」
驚いた顔をした三吉くんだったけど、小さくうなずいた。