恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
* * *





いつの間に寝てたのかわからないけれど、ハッと目がさめると。
あたしは、三吉くんの肩にもたれかかっていた。


は、恥ずかしい……。
そう思って、そっと体をもとに戻す。



なんて弁解したらいいんだろう、なんて考えたけれど。
三吉くんはぐっすりと眠っていたから、口を閉じた。



最近、彼の笑顔を見ていないなあ。
莉子も『好き』って言っていた、優しくて温かい笑顔。



ーー友達に、もどりたいな。
さっき言えなかった言葉。
でもちゃんと、彼に言おう。



「そんなに見られてたら、目 開けない」

「えっ!」



寝ているって思っていたはずの彼の口が動いて、そういった。
その瞬間、ぼっと頬が熱くなる。



「ご、ごめん……っ」



起きてたんだ。
き、気がつかなかった……。
てっきり眠ってると思ってたのに。


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