恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
駅から少し歩いたところにある、日本家屋のおばあちゃん家。
とっても広いのに、ここでひとりで暮らしている。
ピンポーン、と呼び鈴を鳴らす。
少し経つと、家の戸がガラッとゆっくり開かれた。
「あらまあ、たくさんお友達を連れてきたのねえ」
「おばあちゃん、久しぶり……!」
「希子ちゃん、おっきくなったわねえ」
優しい口調のおばあちゃん。
会ったのも久しぶりで、なんだかすごくジーンとした。
「莉子ちゃんとじいさんのお墓参りに行くのよねえ? 暗くならないうちに行って、また帰りに寄りなさい」
「うん!」
「あ、そうそう。 ……これを持って行きなさい」
おばあちゃんが差し出してきたのは、バケツとタオルと、あとはお線香。
そういえば、お花しか持ってきてなかった……。