恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



「ありがとう、おばあちゃん」

「すぐそこだから。 気をつけて行くんだよ」

「うん!」



大きくうなずくと、おばあちゃんは笑顔のまま『行ってらっしゃい』と送り出してくれた。



「行こっか!」



4人にそう声をかけて、近くにある墓地に向かう。
おじいちゃんと同じお墓に入った、莉子に会う。


ーーなにを、伝えればいいかな。

三吉くんが来たことに驚くかな。
手紙を読まれたことを怒るかな。



やっぱり不安だらけになっちゃうけど。
はやく、莉子に会いたいっていう気持ちが大きかった。



「緊張するな……」



そうつぶやいた春馬は、さっきまではちょっとふざけ気味だったのに、いまは表情が固い。



春馬も、まえに進めるのかな。
あたしも、すこしはまえに進めるのかな。


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