恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



静けさのある墓地。
おばあちゃんに渡されたバケツに水を入れて、おじいちゃんのお墓のまえに立つ。


手入れが行き届いてなくて、周りには雑草が生えていた。



「きれいにしなきゃね」



口数の減ったみんなにそう言うと、みんなは『うん』と大きくうなずいた。
みんなも、緊張しているのかな。



お墓の周りをきれいにしたり、墓石を濡れタオルで優しく拭く。


するとすぐに、来たときよりも周りも墓石もきれいになった。

そして実鈴が持ってきてくれた菊の花を、そっとお供えする。



そんなお墓を目のまえにしても、ここに莉子が眠っているだなんて、信じられなかった。



「まずは、希子と三吉くんと河西から、挨拶しなよ」

「芽依と実鈴は?」

「そのあとにするよ」

「うん、わかった」



芽依に渡された束のお線香に春馬が火をつけて墓石のまえに置いて、3人でお墓のまえに並ぶ。


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