恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「それで、キコはなんで泣いてたの?」
「あ……、行きたい高校があるんだけど、先生には『レベルを下げろ』って言われてて」
「そうなんだ。数学が苦手そうだったもんな」
そんな彼の言葉に、首をかしげた。
どうして、数学……?
私、数学はむしろ得意なほうなのに。
「それで、キコの行きたい高校ってどこ?」
「あ、南高校だよ!」
そう言うと、三吉くんは『まじで!?』と嬉しそうに声をあげた。
なんか、『キコ』って呼ばれるのは慣れない。
でも、もう名乗っちゃったんだから……仕方ないよね。
「俺も、南高校が第一志望校」
「そうなの? じゃあ、同じだね!」
「俺もさ、少しレベル上げてて、親にも先生にもキコと同じこと言われてるけどさ。 一緒にがんばろうよ」
「え……」
その言葉にうつむかせていた顔をあげて、三吉くんの顔に視線を移す。
三吉くんの笑顔に、胸がなんだかドキッとした。
なんだろう……、そう言ってもらえてすごく嬉しい。