恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
その言葉に、思わず『うん』と言いそうになる。
だけどその言葉は呑みこんだ。
希子と春は、たしか放課後は駅前の図書館で勉強してる……はず。
それなら鉢合わせをしちゃいそう。
春ともあれ以来気まずくなって、ただでさえあまり話せないのに。
「どうした?」
「へっ。 ……あ、駅前の図書館は友達がいっぱいいるから嫌だなあって」
「そう? それなら、俺の家の近くにも図書館があるけど」
「そこにするっ」
「遠いけど大丈夫?」
心配そうに聞いてくる朝陽くんに、『うん!』と笑顔を返す。
すると、三吉くんはホッとしたように笑った。
「どうしたの?」
「……いや、さっきまで泣いてたから。笑ってくれてよかった」
きっと、三吉くんが声をかけてくれなかったら。
泣いたまま、すべてを諦めようとしていた。