恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
「そんなことねーよ。 むしろ、キコのおかげでがんばろうって思えたし」
「それならよかった……」
「寒いし、そろそろ帰る? あ、キコさLINEやってる?」
「あ、まだガラケーなの」
「じゃあ、メアド教えて?」
三吉くんが差し出したスマホに、慣れない手つきでメアドを打ち込む。
三吉くんに……『莉子』と言える日はくるかな。
ちゃんと元気になって、高校に行けたら言えるよね。
もし、それまでに悪いことがあって私がいなくなっても。
希子という人は存在してるから。
彼にそのことを知られなくてすむ。
———そんな気持ちで吐いた嘘。
これのせいで希子が傷ついてしまうだなんて、考えてもみなかった。