恋日和 〜キミに届かない恋でも〜



コンコン、と部屋のドアをノックする音が聞こえて、むくっと体を起こす。



「あれ、莉子がめずらしく勉強してない!」



希子は部屋に入ってくるなり、目をまるくさせてそう言ってきた。


たしかに、寝るまではいつも机に向かっているから、希子が驚くのも無理はない。



「うん、ちょっと……」

「え〜なになに? いいことでもあった!?」

「っえ!?」

「すっごく嬉しそうな顔してる〜」



興奮気味にそう言ってくる希子に、うまく返す言葉が見つからない。
これじゃあ、明らかに図星の反応だよね。


だからか、希子もニヤニヤした顔で見つめてくる。



「な、なんでもないよ……!」

「え〜!怪しい……」

「なにもないってー。 ほら、勉強しなきゃだよ?」


< 38 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop