恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
そう言って、希子の背中を押しながら部屋から追い出そうとすると。
希子はなにか思い出したように、『あ』とさっきよりも低い声でつぶやいた。
「希子?」
「あのさ……」
背中を押す力をゆるめると、希子は気まずそうに目をそらしながら振り向いた。
なにか言いたそうにしているけど、希子はなかなか言い出さない。
「どうしたの」
「……春馬から告白されたこと、どうして教えてくれなかったの?」
———え?
希子、知ってたの……?
希子は少し悲しそうな顔をしながら、私のことをまっすぐ見つめてくる。
「ごめん。 気安く言えることじゃないと思ったの」
「でも……そんな大切なこと、教えてほしかった。 ふたりが気まずくなってることも知らなかった」
「……ごめんね、希子」