恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
春に告白されたこと、嬉しかったけど……恋愛としての『好き』という気持ちはなかった。
だから、傷つけることをわかって断ったんだ。
「言わなくてごめんね」
「ううん、もういいよ」
希子は下手くそな笑顔を浮かべた。
姉妹なのに、親友みたいな存在なのに、なにひとつ言わなかったこと、後悔してる。
「そうだ。 春馬にまだ教科書返してないでしょ? あたしが返しておくよ!」
「うん、ありがとう」
スクバのなかから教科書を渡すと、希子はそれを受け取ってすぐに部屋から出て行った。
小さくため息を吐いて、ベッドの端に腰を下ろす。
でもまさか、春が私のことを好きだなんて思ってもみなかった。
そう思っていてくれたことは、嫌じゃなかった。
だけど……気まずくなるなら、幼なじみのままで3人仲良くしていたかったなんて、思っちゃうんだ。