恋日和 〜キミに届かない恋でも〜
夕暮れどきの図書館への道。
左側の莉子はいつも話さないから、いま左側からたくさん声が聞こえるのに、少し違和感。
「真面目にさ、4人のうちだれかが落ちたらどうする?」
「そういうこと言わないの!」
「でも、私ひとりだけ落ちたら、みんなと気まずくなりそう」
南高校を志望してるのは私と莉子だけじゃない。
春馬も、小学校から仲のいい芽依も実鈴も。
あたしと莉子と芽依と実鈴の4人のうち、だれかひとりでも受からなかったとしたら。
芽依の言うとおり、たしかに気まずくなっちゃいそう……。
「大丈夫だよ! がんばろっ」
「いま1番 危ないのは希子だけどな」
芽依にガッツポーズを向けていると、右側を歩く春馬の声が聞こえて、ぎろりと睨んで見せる。